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【原作】
佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』(河出文庫)

【脚本・監督】
三宅唱

【キャスト】
柄本佑、石橋静河、染谷将太、足立智充、山本亜依、柴田貴哉、水間ロン、OMSB、Hi’Spec、渡辺真起子、萩原聖人

85点
函館を舞台に20代の若者3人の触れ合いを描く。

究極的に自然な会話の数々。アドリブだらけかと思ってたらインタビューとか読むと割と脚本通りらしい。
他人が意味なくキャッキャしてるのって本当にウザく感じることがあるんだけど、この映画は見ててずっと多幸感に包まれていた。

で、たわいない会話の数々の中に実は伏線が張られていたり、
「若さってなくなっちゃうのかな」
「楽しく遊んでて何が悪いの?」

「あいつ何考えてるかわからないけど、本当に何も考えてないかもしれないし」
みたいなテーマに切り込んだセリフやキャラ描写につながるセリフが出てくる。

あとは別の2人が喋ってるのに黙って聞いてる人間の顔を映してたり、何かを言われてる人の顔を映したショットが多いのも印象的だった。

キャラ描写といえばサチコがカラオケ「オリビアを聴きながら」のハナレグミcoverバージョンを歌うのも彼女っぽい。普通とちょっと違うものを好むタイプだし。

あと、ハナレグミのアレンジであの曲のサビの盛り上がりがあえて抑えめになってて、若干平坦な独特の歌になってるのは映画全体のトーンを象徴してたと思う。

ラスト静雄のお母さんが倒れてずっと続くと思ってた3人の関係性が終わる前の夜に、今まで劇中でやってたビリヤードとか卓球とかダーツをまた3人で再度やるシーンがあるのも上手い。
またやってんのかって思わせてその後3人の関係性が終わってしまうのでより切なくなった。

ラスト主人公の「僕」は少しだけ成長する。今まで成り行きに任せて、サチコと会った時も120秒数えて向こうから来るのを待ってたのに、店で万引きが出ても追いかけなかったのに、ラストは劇中唯一全力疾走してサチコに思いを伝える。
サチコは結局あの後どういう選択をしたのか。

キャストは全員素晴らしかった。柄本佑は気だるさや適当さを出すのが超上手いし元々そんな感じの顔してる笑。でもモテそうっていう絶妙なバランス。
石橋静香は劇中のほとんどの男から好意を持たれる役だけど、あのちょうどいい感じの美貌と掴みきれない雰囲気なら納得できる。

染谷君は普通の低血圧めな若者やらせたら天下一品。喋り方とか友達に数人いる感じで本当にリアル。

萩原聖人も含めてみんな地方都市にいそうな感じでリアルでした。

20代前半の頃のダラダラしてるけどヒリヒリもしてた気分を思い出した。
佐藤泰志は31歳のとき原作を書いたらしい。20代の頃を忘れないために書いたそうな。