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今、世界で一番オシャレな監督といわれているウェス・アンダーソンの最新作。僕は基本的にオシャレな映画はあんまり得意じゃないんですが彼の作品は好物な物が多くてですね。

特に「ファンタスティックMr.FOX」や「グランドブダペストホテル」は最高でその年のベスト5以内にも入れたくらいの傑作。

で、今回の「犬ヶ島」は全編ストップモーションの人形アニメということでファンタスティックMr.FOX路線。今年最も楽しみな映画の一つだったんですよ。

で公開初日に見てきたんですが

 

82点

さすがの出来でした。

あらすじ

20年後の近未来の日本。架空の都市「メガ崎市」では「犬インフルエンザ」が大流行。人間にも感染する可能性が高まってきたため市長の小林は市内の全犬を元工業地帯だった孤島に隔離する法案を強行採決。まずは自分が飼っているスポッツという犬を追放する。6ヵ月後、犬と産業廃棄物や鉄くずだらけのその島は「犬ヶ島」と呼ばれ、かつてはセレブに飼われていた犬も元々野良だった犬もみんな惨めに暮らしていた。そんな中、小林市長の養子のアタリ君が犬ヶ島に飛行機で侵入してくる。彼はかつての愛犬スポッツを探し出すため、島で出会った5匹の犬たちと冒険に出る。そして犬追放法を作った市長たちの陰謀が明らかになっていく・・・。

 

 

いろいろいいところはあるんですけどざっくり言うと、いろんな日本文化ごった煮要素をキッチリとトータルデザインしていつものウェスアンダーソン印の映画にしてみせた手腕はさすが。

ちなみに出てきた日本文化要素は

アタリ(昔あったゲーム会社)、相撲、北斎、三船敏郎、七人の侍のテーマそのまんま、北野武、オノ・ヨーコ、山本五十六みたいな名前の軍人、仲代達矢みたいな外見の神主、などなど。

あと、犬たちがゴミ溜めの中で暮らしてるのはどですかでん、ゴミ山の上に人や犬が佇むショットは悪い奴ほどよく眠るのオマージュかな。

 

あと、これは確証が持てないんですが、何度か「七人の侍の」スチールにも使われている侍7人が全員1画面に収まった超有名なショットのオマージュっぽい構図もあったような気が。画面左に一人登場人物がいて右側に引いた画の数人のキャラがいるって構図ですね。

なんとなくわかりますかね笑。完全にこれ!ってのはないんですが、ぽい構図は結構あった気が。

日本オマージュの大部分は「黒澤」オマージュでした。「野良犬」なんて映画もありましたね。

ウェス要素も満載で、

いつも通りかっちりとシンメトリーにデザインされた画面(ただ人物や対象物が真ん中にあるというだけじゃなく、カメラの動き方もコントロールされてるし、島と海が両方映るカットはその境目が真ん中に来るように撮られてるような徹底ぶり)に、絶妙な間の会話、でも早い話のテンポ、埃のモワモワでゆる〜く処理される戦闘シーンなど、ファンにはたまらない味わい。

そんで相変わらずの豪華キャスト。ティルダスウィントンが彼女のイメージとかけ離れた犬種の声をやってるのが注目です(笑)

そして日本オマージュはさっき話したクールジャパンな部分だけじゃなく官僚の不正的な部分まで。ここも「悪い奴ほどよく眠る」っぽい。

まあ戯画化されてて若干リアリティは薄めですが結構今の世相に響く部分もあります。

特にデマを流して国民の反犬感情を高めて世論を得るあたりとかだいぶ風刺効いてる笑。本来国が福祉で保護すべき病床者を隔離してしまうってのは色んな時代、色んな国でもあったことですし。日本だったら水俣病とかハンセン病?

反対派の親犬勢力は暴力団使って弾圧、逮捕。

せっかく開発された犬インフルエンザの特効薬もそんなものがあっては自分たちが推し進めるロボ犬を流行らせる計画の邪魔だからと作った学者ごと抹殺。かなり腐った世の中ですね(笑)

 

その不正を暴いて世を正すのがこの世界でずっと差別されてきた犬たち!

一般的に政治家が不正をして周りの秘書官や官僚がその人をかばったりすると「あいつは○○の犬だ」とか言われたりするので、その犬が腐った政治家どもを成敗するってのはいいですね。そこもウェスが狙った部分かは分かりませんが。

基本的には動きの可愛さや美術のディティールを楽しむ作品ですが、そこに秘められた風刺や皮肉を想像して見てみるのも楽しいさすがの逸品。

 

とか言って82点どまりなのは「グランド・ブダペスホテル」のソリチェイスシーンや「ファンタスティックMr.FOX」のラストの攻防ような個人的なフェティッシュにドンピシャくるような面白カワイイアクションがなかったからです。(笑)勝手な意見。