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新作じゃないのですが本作はDVD化されておらず前から気になっていたのですがついに2月にキネカ大森で鑑賞できたのでいまさら感想を書かせていただきます。笑

 

ちなみにエヴァンゲリオンやシン・ゴジラの庵野秀明監督は本作がものすごく好きで監督の岡本喜八を写真だけですが、シンゴジラに出演させてますね。

 

100点

 

で、観てみたんですが世界レベルの戦争映画の大傑作!

テンポの良さと悲壮感を煽らない沖縄風音楽が逆に悲惨さを際立たせる。

 

1945年の沖縄決戦を開始前の経緯から終結まで描ききっているのですが前半はナレーションや図面で戦況を説明しながら淡々と進みます。

しかし後半に行くにつれナレーションも無くなり、地を這うような現場目線で地獄絵図が展開されるのです。

 

この構成は指揮系統がどんどん崩壊していき泥沼化した沖縄戦の実情とも重ねられ、非常に上手い。

 

日本軍の沖縄県民への対応は杜撰かつ横暴で

スパイと疑われ殺された老人が実は陛下の御真影を抱えていたことがわかったり、

ガマという洞穴に非難していた民間人を追い出して死なせてしまったたりとひどい実態。

 

また赤子の片足だけ抱えて彷徨う母親や、爆炎とともに降ってくる子供の手など

短い編集で強烈な映像を差し込んでくるのでとてつもなく印象に刻み込まれる。

 

 

後半逃げ回ったりどんどん自決していく軍人に対して

「戦うのが仕事なのになんで逃げ回っているの」

「弱虫!」など鋭い言葉が投げつけられる。

ここら辺は監督の主張も強いですね。

しかも女性がそれを言う。

 

 

仲代達矢演じる矢張高級参謀が、上官2人の自決をちゃんと見ることが出来ず、結局自身は米軍に投降してしまうのも皮肉。

 

しかし彼ほど優秀な軍人が愛想を尽かしてしまうくらいこの時の混乱グダグダぶりは酷かったということでしょう。

 

ただ、単に軍人をひたすらカッコ悪く描いているわけではなく、小林圭樹演じる主演の牛島中将や遺書に沖縄県民に特別のご高配をと書いた司令官などは立派な人物だし、

現場でクールかつ的確に戦うカッコいい日本兵も出てくる。

基本的に現場兵士に対しては敬意を感じました。

その分上層部の高官たちや傍観的な現場の上官にはものすごく批判的な目線でしたが笑。

また大阪からわざわざ県知事を引き受けてやってきた島田さんはほんとに高潔な人物として描かれていますね。

 

生き急ぐ少年兵たちへの

「死人に国が救えるか!靖國神社ばかり満員になって前線はガラ空きだ!」

「自分のために生きろ!沖縄のために生きろ!」

という老兵たちや教師たちの言葉も泣かせる。

 

息子と孫が豪で自殺している中、狂ったように踊るオバアなど後半は本当に悲惨極まる沖縄市民の死が描かれているのですが、唯一の希望があるのです。

 

それは最初から最後まで彷徨いながら生き残ったあの幼児。

彼が力強く水を飲むところで映画は終わる。

彼は生き残った全ての沖縄県民の、そしてその次の世代の象徴なのだろうか。

 

 

沖縄返還一年前に合わせてこんな骨太な作品を

大予算と豪華キャストで作れたかつての日本映画界に驚嘆

 

喜八監督の手腕、

特技監督の中野昭慶さんの渾身の爆発描写など

作り手の気迫がビリビリ伝わってきました。

 

庵野さんが影響受けるのも当然ですね。

 

またこんな傑作が邦画界に生まれることを、

 

そして日本にまたこんな悲劇が起きないことを切に願います。